- タクシーで見かける「回送」表示の本当の意味が知りたい!
- タクシーが「回送」を選択する理由ってなんだろう?
- 例外的に「回送」でも乗れるときってあるのかな?
表示の意味や理由が明確にわかり、乗れる・乗れないの判断基準も理解できるため、今後のタクシー利用がよりスムーズでストレスの少ないものになります。
タクシー表示の見方をマスターして、賢くタクシーを利用するために、ぜひ最後までお読みください。
目次
タクシーの「回送」表示、その正確な意味とは?

タクシーの「回送」表示、その正確な意味とはなんでしょうか。前の章で触れたとおり、「回送」表示は時に私たちを戸惑わせます。表示の正確な意味を知ることは、疑問を解消し、タクシーをよりスムーズに利用するための第一歩です。
では、単刀直入に、「回送」とは具体的にどのような状態を示すのでしょうか。
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結論:「お客様を乗せられない(非営業)」状態のこと
つまり、「回送」表示が出ているタクシーは、現在、営業活動をしていない状態を示しています。
そのため、原則として手を挙げても乗車できません。
どこを見る?「回送」などの表示方法

「回送」や「空車」など、タクシーの状態を示す表示はどこで確認するのでしょうか。
一般的には、助手席の前あたり、フロントガラスの内側に設置された表示装置に目を向けてください。「スーパーサイン」や「ウインドサイン」といった名称で呼ばれています。
現在ではどのような装置が主に使われているのか、そして「回送」以外にはどんな種類の表示があるのか、詳しく解説していきます。
主流はLED電子表示装置
今のタクシーに搭載されている表示装置で最も一般的なのは、LED技術を用いたデジタル表示タイプです。
LED表示が広く採用されている背景には、その優れた視認性があります。
日差しが強い昼間でも、暗い夜道でも、表示内容をはっきりと読み取れます。
また、文字だけでなくマークなども表示でき、多様な情報を伝えられる点もメリットです。スーパーサインやウインドサインと呼ばれる装置がこれにあたります。
タクシーメーターの操作と連動して「実車」や「支払」の表示が自動で切り替わったり、ドライバーのボタン操作で「回送」や「休憩」を表示したりします。旧来の行灯や札式の表示板に比べ、情報の正確さと伝達のしやすさが向上しています。
このような理由から、LED電子表示装置が現代タクシーの標準的な表示方法となっています。
「回送」以外の表示の種類と意味
タクシーは、「回送」以外にも状況に応じて様々な表示を使い分けています。主な表示の意味を知っておくと便利です。
代表的な表示とその状況を以下にまとめます。
- 「空車」: 営業中。新たなお客様を探しています(乗車できます)。
- 「迎車」: 予約のお客様を迎えに行く途中です(乗車できません)。
- 「実車」または「賃走」: お客様が乗車中です(乗車できません)。
- 「支払」: 料金を精算している最中です(乗車できません)。
- 「割増」: 深夜早朝などの割増料金が適用されている時間帯です(「空車」と併記される場合あり)。
- 「予約」または「予約車」: 予約されているタクシーです(乗車できません)。
これらの表示を理解しておけば、タクシーが現在どのような状態にあるのかを、より的確に判断できます。
【比較表】これで完璧!「回送」と「空車」「迎車」などの明確な違い

タクシーの「回送」などの表示方法はどこで見ればよいのでしょうか。多くの場合、助手席前のダッシュボード上やフロントガラス下部にある表示板で確認できます。「スーパーサイン」や「ウインドサイン」と呼ばれる装置です。
表示 | 意味 | 乗車できるか (流しの場合) | 主な理由・状況 |
回送 |
お客様を乗せない非営業状態 |
不可 | 営業終了(帰庫)、休憩、食事、車両整備、給油など |
空車 | お客様を探している営業中の状態 | 可能 | お客様待ち、街なかを走行中 |
迎車 | 特定のお客様を迎えに行っている状態 | 不可 | 予約や配車アプリで呼ばれたお客様のもとへ移動中 |
実車 | お客様が乗車している状態 | 不可 | お客様を目的地まで輸送中 |
(その他) | 支払、予約、賃走、高速、割増など | 不可 | 状況に応じた表示 |
最近はLEDを用いた電子表示が主流です。「回送」の他にも「空車」や「迎車」など、タクシーの状態を示す表示があります。特に紛らわしい表示の違いを、以下で詳しく見ていきましょう。
「空車」との違い:乗れる状態 vs 乗れない状態
「空車」表示と「回送」表示の最大の違いは、お客様が「乗車できるかどうか」です。「空車」は乗車可能、「回送」は原則乗車できません。
なぜなら、「空車」はタクシーが営業中であり、新たなお客様を探している状態を示しているからです。一方で「回送」は、前の章で説明したとおり「非営業」の状態を示します。
例えば、あなたが大通りで手を挙げたとき、快く停まってくれるのが「空車」表示のタクシーです。
急な雨が降ってきたとき、すぐに乗り込めるのは「空車」のサインがある車両に限られます。
「回送」表示のタクシーは、たとえ目の前を通りかかっても、営業していないため停まりません。
表示を正しく見分けることが、スムーズなタクシー利用の第一歩です。
したがって、街なかでタクシーを探す際は、「空車」の表示が出ているかを確認するようにしましょう。
「迎車」との違い:特定の客を迎えに行く vs それ以外の非営業
「迎車」表示と「回送」表示は、すぐには乗車できない点で共通していますが、その目的が全く異なります。
「迎車」は特定のお客様を迎えに行く途中であり、「回送」はそれ以外の非営業状態を示します。
「迎車」表示は、すでにご予約いただいたお客様や、配車アプリなどで呼ばれたお客様のもとへ向かっている状態です。
タクシーは営業活動の一部として移動しています。対して「回送」は、営業所へ戻る、休憩を取る、車両を整備するなど、特定のお客様とは関係ない理由での移動です。
例えば、あなたがタクシーアプリで配車を依頼した場合、迎えに来るタクシーは「迎車」表示を掲げています。
これは、あなたという特定のお客様のための運行です。
しかし、街なかで「迎車」表示のタクシーを見かけても、他のお客様を迎えに行っている最中なので、手を挙げても乗ることはできません。
お客様を乗せていない点は「回送」と似ていますが、意味合いは大きく異なるのです。
よって、「迎車」表示のタクシーも、「回送」表示と同様に、基本的に流しで乗車することはできないと覚えておきましょう。
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なぜ「回送」に?タクシーが営業できない主な理由

なぜタクシーは「回送」表示にするのでしょうか。「回送」は単に「お客様を乗せません」という意味だけではなく、様々な理由に基づいています。
ドライバーが営業できない、あるいは営業しない選択をする背景には、いくつかの代表的なパターンがあります。
- 営業終了・勤務時間終了
- ドライバーの休憩・食事
- 車両トラブル
- 給油・洗車
- 営業エリア外からの戻り
主な理由を以下で一つずつ見ていきましょう。
理由1:営業終了・勤務時間終了
タクシーが「回送」表示にする最も一般的な理由の一つは、一日の営業時間が終了し、営業所や車庫へ戻るためです。「帰庫(きこ)」とも呼ばれます。
タクシードライバーには、会社によって定められた勤務時間があります。勤務時間が終了すれば、安全管理や労務管理の観点から営業を終え、車両を営業所へ戻さなくてはなりません。
例えば、深夜2時や3時といった時間帯に街なかで見かける「回送」表示のタクシーは、夜勤のドライバーが乗務を終えて帰庫している可能性が高いです。無理な長時間労働を防ぎ、ドライバーの安全と健康を守るための、日々の業務サイクルの一部です。
このように、勤務終了にともなう営業所への帰庫は、「回送」表示が使われる代表的な理由です。
理由2:ドライバーの休憩・食事
ドライバーの休憩や食事の時間も、「回送」表示にする正当な理由です。
安全な運転を継続するためには、ドライバーが適切に休息をとることが法律でも求められています。集中力を維持し、事故を防ぐ上で、休憩や食事は不可欠な要素です。
例えば、昼食の時間帯にドライバーが営業を一時中断し、「回送」表示にして食事をとれる場所へ向かう、あるいは車内で休憩する場合があります。
長距離運転の後や、交通量の多い時間帯を避けて仮眠をとる際なども同様です。公園の近くや、少し路地に入った場所に停車している「回送」タクシーは、休憩中の可能性があります。
ドライバーの健康管理と、結果としてお客様の安全を守るため、休憩・食事中の「回送」表示は必要な運用といえます。
理由3:車両トラブル
走行中の車両トラブル発生や、点検・修理のために営業所などへ向かう場合も「回送」表示になります。
タイヤのパンク、エンジンやブレーキの不調、警告ランプの点灯など、車両に異常が発生した場合、お客様を乗せたまま走行を続けるのは危険です。
安全を最優先するため、速やかに営業を中断する必要があります。
例えば、走行中に異音を感じたドライバーが、安全を確認するために「回送」に切り替えて路肩に停車したり、そのまま営業所や提携修理工場へ向かったりするケースです。
また、法律で定められた定期点検や、必要な整備を受けるために営業所へ車両を移動させる際にも「回送」表示が用いられます。
お客様とドライバー自身の安全確保のため、車両に何らかの問題が発生した際の「回送」表示は、迅速かつ適切な対応です。
理由4:給油・洗車
タクシーの燃料補給(給油や充電)や、車両の洗車も「回送」表示の理由となります。
タクシーが営業を続けるためには、当然ながら燃料が必要です。
ガソリン車やLPガス車は燃料補給、電気自動車(EV)は充電が欠かせません。
また、お客様に気持ちよく乗車していただくためには、車体を清潔に保つことも求められます。
例えば、営業中に燃料計が少なくなってきたら、ドライバーは「回送」表示にして最寄りのガソリンスタンドやLPガスステーション、EV充電スタンドへ向かいます。同様に、雨上がりで車体が泥で汚れた場合や、定期的な清掃のために洗車場へ向かう際も、「回送」表示に切り替えて移動します。
日々の営業運行に不可欠な燃料補給や、サービス品質維持のための洗車も、「回送」表示が使われる一般的な理由の一つです。
理由5:営業エリア外からの戻り
お客様をタクシーの営業区域外まで送り届けた後、自身の営業区域内に戻るために「回送」表示で走行する場合があります。
タクシー事業は、運輸局から認可された特定の「営業区域」内でのみ、お客様を乗せて営業活動を行うのが原則です。そのため、営業区域外では新たなお客様を乗せられないというルールが適用される地域が多いです。
例えば、名古屋市内を営業区域とするタクシーが、お客様の要望で隣接する春日井市までお送りしたとします。
春日井市でお客様を降ろした後、名古屋市内に戻るまでの間は営業活動ができないため、「回送」表示にして走行する、といったケースです。
ただし、地域や会社のルールによっては、営業区域外でも条件付きで営業が許可される場合や、空車のまま戻るよう指導される場合もあり、運用方法は一律ではありません。
営業区域制度のルールに基づき、区域外から所属エリアへ戻る際に「回送」表示が使われる場面も存在します。
例外はある?「回送」でも乗れる可能性があるケースと見分け方

回送表示でも状況により乗車可能な場合があります。見分け方を知れば乗れる確率は上がります。
ケース1:表示の切り替え忘れ・直後のタイミング
回送表示でも、表示の切り替え忘れや切り替え直後であれば乗れる場合があります。
理由は、運転手が乗客を降ろした直後に営業表示に戻し忘れているケースがあるためです。例えば駅前で乗客を降ろしたタクシーが、そのまま営業表示を忘れて走り出す場合があります。
表示が回送でも空車ランプが点灯していたり、運転手が乗客を探す様子をしていれば、手を挙げて合図すれば停車する場合があります。
回送表示でも直後のタイミングなら乗れるチャンスはあります。
ケース2:ドライバーの特別な判断
回送表示でもドライバーが特別に判断して乗車を認める場合があります。
運転手には運行状況や乗客の事情に応じて臨機応変な対応をする権限があるためです。
例えば、深夜に雨が強く降っている状況で、乗客が長くタクシーを待っている場合、運転手が事情を考慮して乗せる可能性があります。
また、運転手自身が休憩や帰庫のため回送にしている場合でも、乗客の行き先が運転手の経路に一致すれば例外的に乗車できます。ドライバーの判断次第では乗れる可能性があります。
乗れる可能性を探る上での注意点
乗れる可能性を探る上で注意点があります。
基本的に回送中のタクシーに乗車を強要するのはマナー違反です。以下の点を確認した上でアプローチしてください。
- 空車ランプが点灯中
- 速度を落とし、乗客を探す動き
- 運転手がこちらを注視する様子
上記のような状況で、手を挙げたり軽く合図を送る方法が有効です。回送中のタクシーに対し、無理に停車を求めたり、道路に飛び出すなどの危険行為は避けてください。安全かつマナーを守りつつ、状況を見て判断するのが適切です。
その他「回送」に関するよくある質問 (FAQ)

Q. 回送中にノロノロ走るのはなぜ?
回送中にノロノロ走る理由は、次の乗客を探しているためです。
回送表示にしているものの、運転手は効率良く乗客を見つけたいと考えています。
そのため、交通量の少ない道をゆっくり走行し、次に営業を再開する場所を探す場合があるのです。
例えば深夜や早朝、乗客の需要が高い駅や繁華街周辺で、回送表示のままゆっくり運転するケースがよくあります。
これにより、運転手は効率良く営業再開が可能になります。
回送中の低速運転は営業準備の一環です。
Q. 回送中の事故の責任は?
回送中の事故の責任は原則として運転手や運行会社にあります。
回送中であっても、車両を安全に運転する義務に変わりはないためです。例えば、回送表示中に運転手がスマートフォン操作をして事故を起こした場合、当然、運転手側の責任が問われます。
一方で、相手側に信号無視や無理な割り込みがあった場合は、その相手方の責任が重視されるケースもあります。回送中という表示は責任軽減の理由にはなりません。
Q. 回送に料金表示は関係ある?
回送に料金表示は関係ありません。回送中は乗客を乗せずに走行するため、料金メーターの表示や料金の請求は発生しない状態だからです。
例えば、タクシーが回送表示で走っているとき、料金メーターは必ず消えています。
もし回送表示中に料金メーターが作動しているタクシーを見かけたら、それは表示設定のミスか不正操作の可能性があります。回送表示では料金メーターは作動しません。
まとめ【回送の場合は原則乗車できないと認識ましょう!】
街なかで「回送」と表示したタクシーを見て、「乗れないのか」と残念に思ったご経験はありませんか。
タクシー乗務員が「回送」を表示している時は、「今は営業しておらず、お客様をお乗せできません」という意味になります。
助手席の前にある表示装置(スーパーサイン)で、この表示をご確認ください。
